お兄ちゃんと秘密のキス

「さすがだな。

俺からひかるを奪っただけある。」



不謹慎だった。

元カレとはいえ、
そんな話するもんじゃない。


私は自分の言動を悔やんだ。


「ごめん…」


俯き加減な私とは対称的に、彼はハハハと笑う。


「そんな。
大丈夫だって。まだちょっと未練あるけどさ。」


「うん」



びゅう…


寒い寒い風がまた私たちを襲った。


「さむっ」




でも、意外だ。

まだ私に少し未練がある、なんて。


とっくの昔に私は"元カノ"になっていたと思っていたのに。

私が軽いのだろうか。

< 289 / 409 >

この作品をシェア

pagetop