お兄ちゃんと秘密のキス
「さすがだな。
俺からひかるを奪っただけある。」
不謹慎だった。
元カレとはいえ、
そんな話するもんじゃない。
私は自分の言動を悔やんだ。
「ごめん…」
俯き加減な私とは対称的に、彼はハハハと笑う。
「そんな。
大丈夫だって。まだちょっと未練あるけどさ。」
「うん」
びゅう…
寒い寒い風がまた私たちを襲った。
「さむっ」
でも、意外だ。
まだ私に少し未練がある、なんて。
とっくの昔に私は"元カノ"になっていたと思っていたのに。
私が軽いのだろうか。