お兄ちゃんと秘密のキス



「はい」



顔をあげると、運転手の顔が歪んでいるように見えた。



「何時に成田空港につきたいの?」




これは何かまずい、と気付いた。



「ひょっとして、渋滞ですか?」



「まぁ、そんなところだ。」



すまないね、と運転手は苦笑した。



「19時にはつきたいんです…どうしても、会いたい人がいるから。」



「彼氏さんかな?」



「はい。そんなところです。」



運転手はぐるんと肩を回した。


「じゃあ、ぶっ飛ばすしかないな。
オジサンのせいであんたらが別れたら嫌な気分だ。」



彼はにこりと優しく笑った。




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