【短ホラー】そのページのむこう
ワタシ
「ひっ!!」


「お嬢ちゃん、もう暗いから帰った方がいいんじゃないかい?」




私の肩に乗せられたのは、少しシワがよった温かい手だった。



あ……私、ついハマって。


手に持つ黒い表紙の本から窓の外へ目を向けると、そこには深い闇が広がっていた。



うそぉ。部活終わったときはまだ明るかったのに……


「おじさん、今何時ですか?」


「11時だよ」

「えぇ!?」

ゆったりしたおじさんの声に惑わされそうになったが、非常にやばい時間だ。


お母さん、怒ってるよなぁ。

今ごろになって、かけたままのスポーツバックのヒモが肩にひどく食い込んでいるのに気付いた。



私は部活動帰りにふらりと立ち寄った古本屋で、ホラー小説を長いこと立ち読みしていたようだ。
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