復讐の女神
そう言うと片山課長はゆりを見下ろした。
ゆりは訳が分からず涙目でキョトンとした表情をしていた。

片山課長はゆりのその間抜けな顔を見て笑うと
「なかなか面白い余興だったよ。ありがとう」と言った。

「余興??ですって?」

片山課長に揶揄され、怒りをぶつけたかったが
片山課長のサプライズに嬉しさも込み上げ、
ゆりの心は複雑なまま涙を流した。

「行こう」

「行こうって、どこへ?』

片山課長はゆりの握った手を引っ張るとパーティー会場を後にした。
会場内の人々はポカーンとしてしまい、2人を追いかけることも出来なかった。

外に出ると、片山課長は傑作だったと 言って大笑いした。
ゆりは彼の笑う姿を見て、恥ずかしさのあまり
「なんで早く言ってくれないのよ!」と彼を非難した。

「俺を殺そうとしてたんだろ?
だから少しいじめてやろうと思ってな」

「意地悪・・・・」

「最初は、ゆりを諦めようと思った。
俺は今のステイタスから逃げたくなかったんだ。
けど、父を裏切ってでも俺は自分が本当にしたいことを選ぼうと思った。
ゆりがもし復讐を諦め、俺を選んでくれたらそうしようと決めた。
さっきの復讐は兄への思いではなく、俺に対する愛への憎しみだったろ?」


ゆりは、図星を言われて、黙り込んだ。

「可愛い奴だな」

そう言うと片山課長はゆりを抱きしめた。

「俺はもう課長でもない、ここを離れて
俺たちを誰も知らない場所でゆりと一緒に暮らそうと思うけど良いか?」

ゆりは、「うん」と言って首を縦に振った。

抱擁を緩め、片山弘樹はゆりの頬を両手で包むように添えると
「ゆり、愛してる」と言った。

ゆりも嬉しさのあまり涙をこぼすと
「私も。弘樹さんを愛してる」と言った。

そして、二人は目を瞑ると
次第に顔を近づけゆっくりキスをした。

[完]
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