復讐の女神
朝目覚めると隣にいる片山課長に抱きしめられながら
寝ていたことに気づいた。

仰向けの状態で右側を見ると規則正しい寝息を立てながら
眠っている片山課長の顔が目に入った。

サラサラの髪、長い睫毛、すっと伸びた鼻筋。
自分が普通の女だったら間違いなく惚れていただろうと
ゆりは思った。

ゆりは、彼の腕を避けながらベッドを降りた。
二人とも裸だった。

ゆりは、そそくさとリビングを出るとバスルームに向かった。

浴室に入り、蛇口を捻ると、頭から熱いシャワーのお湯を浴びた。

「うっ・・・」

耐えきれずゆりの口から嗚咽が漏れた。

ゆりはその場でしゃがみこむと全身でシャワーのお湯を浴びた。

「うっ、ひっく、涼く・・・ん、ごめんなさい」

そうしてシャワーを浴びながらゆりは涙を流し始めた。

昨日の涙は、ゆりの後悔の涙だった。
片山課長を誤魔化せても、自分の心を誤魔化すことは出来なかった。

「例え身体を奪われても心だけは奪われてないから・・・。
私の心は涼くんだけを想っているから・・・・。
だから涼くん、私を許して・・・。
私を嫌わないで・・・・」

ゆりは顔を上げるとシャワーのお湯を思いっきり被った。

罪を償うように、汚れた身体を洗い流すかのように
全身に浴びて、ゆりは声を押し殺しながら
懺悔の涙を流した。
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