復讐の女神

偽りの関係

ゆりは服に着替え、リビングに戻ると
上半身を起こした片山課長の姿が目に入った。

「起きたの?」

そう言うとゆりは彼のそばに寄って
ベッドの上に腰をかけた。

「あぁ、おはよう」

彼は眠そうにあくびを一つすると
ゆりの顔をまじまじと見つめた。

「え?なに?」

「いや、悲しそうな顔をしてるなと思って・・・」

ゆりの涙はシャワーで誤魔化せても
赤くなった目はどうすることも出来なかったようだ。

「だって・・・」
ゆりは、軽く笑うと
彼の上半身に抱きつき
彼の胸板に顔をうずめた。

「もう、行ってしまうんでしょ?」

片山課長は、ゆりの心細さを慰めるように
片手を彼女の背中に回すと抱き寄せ
「あぁ、仕事が残ってるからな」と言った。

「もっと一緒にいたいか?」

「ううん、ワガママは言わない・・・」

「そうか」

すると片山課長はゆりを包むように
抱擁の力を強めた。






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