寄っていきませんか。
「おっ、華だー」

やけに頭に響くその声で現実に引きずり戻された。

山崎 華ちゃんは、コイツの、赤井 湊の彼女だ。


「おはよっ湊くん‼」
髪が長くて、元気で、可愛くて、守ってあげたくなるタイプの私と正反対の女の子。


『おはよー華ちゃん』
そんな今日も可愛い彼女に頬が引きつりそうにながらも笑顔で挨拶した。


「瑞季ちゃんおはよー」
にこっと湊と同じ眩しい笑顔を私にくれる彼女は私の気持ちを多分気付いて無いのだと思う。というか気付かないでいて欲しい。


「華ー今日昼飯一緒に食わねぇ?」
一緒に食べたい‼顔丸出しで華ちゃんに聞いてる。
ふーん。一緒に食べたいんだ?


『っっ‼?』
驚いた。
危うく声が出てなかったからラブラブな二人は気づいてなかったけど。

...私、今なんて思った?

私は湊と付き合ってもなくて、腐れ縁で、ただ仲良くしてるだけなのに。

幸せそうなカップルに、笑って話す華ちゃんに、彼女が大好きだといっているような湊の笑顔に、私はすごく嫉妬した。

ううん。嘘。もっとひどいこと思った。


...壊れちゃえばいいのに、って。
湊は、私のものなのにって、勝手に思った。








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