君の瞳に映りたくて。

和泉said



***


「立ち聞きかよ、春翔。」


「……俺は宮下を追いかけてきただけだわ。」


「宮下を追いかけて、何を言うつもりだったんだよ。」


「……それは、そうだけど…放っておけないだろ。」


「春翔は宮下をふったんだ。
お前に追いかける権利はない。」


「なんでだよ。友達なんだから…」


「宮下は最初っから春翔のことを友達だなんて思ってねーよ。
だからこそ告白したんだろーが。
あいつは本当はお前の友達になんかなりたくなかったんだよ。」


「じゃあ今までのは全部嘘だったのかよ。」


「お前はアホか。
好きな相手なら友達なんかじゃなくて、彼女になりたいって思うのが普通だろが。」


「…あぁ、そっちか…」


「結局さ、お前は竹下に嘘つかれてたことをいまだに引きずってるんだろ?
だからそんな発想が出てくるんだろ?
……宮下は嘘をつくやつじゃない。
それくらい、ずっと宮下を見てきた春翔ならわかってたことじゃねーの?
いつまでもビビってんなよ。

いなくなってから、取られてから気づいたんじゃおせーんだからな。」


…わかってるよ、そんなの。
でも…俺はもう宮下を傷つけたあとなんだよ。
自分が傷つくのが怖くて、結局宮下を傷つけて、宮下を手放した。

……もう、きっと仲良くはしてくれない。
俺に笑いかけてくれない。


なんでたろうな。
好きじゃないって思ったのに、すげー寂しいんだけど。


どうすればいいんだよ、俺は…



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