君の瞳に映りたくて。

和泉said



***


…気持ちよさそー…


舞桜が走り終えたあと、本当に爽やかに笑うから、こっちまで楽しくなる。走りたくなる。

スタート地点で構える時の真剣な顔。
そして軽やかに速く走り、気持ちよさそうに笑う。

たった数秒足らずなのに、舞桜がいろんな表情をするから目が離せない。
そのくらい、舞桜の走りは魅力的だ。
こっちまで走りたくなるような、そんな感じ。


舞桜が走るグラウンドは太陽の光に照らされ、キラキラと輝いて見える。
眩しくて、俺もそこに足をつけたい。

地に足をつけて、風を感じたい。


俺は舞桜の走ってる姿が好きだ。


「和泉~」


「………へ?」


「へ?って。
どうしたの?ボーッとして。」


「え…いや、なんでも。
それよりもう走んないの?」


「うん。
そろそろサッカー部も練習終えちゃうし、先に終わらないと話聞けないでしょ?

それより和泉もなにか思い出したことある?」


「んー…それはないけど」


「けど?」


「………なんでもない。」


きっと俺は前から舞桜の走ってるところが好きだ。
そんな気がした。


ずっと前から………



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