この夏の贈りもの
「チホ、そろそろ休憩しようか?」


そう言ったのは和だった。


さっきまで一番後ろをついて来ていたけれど、気がつけば唯人と並んで歩いていた。


「そうだね。あたしお腹すいちゃった」


幽霊たちにはわからないと思うけれど、人間のあたしはお腹と背中がくっつきそうだった。


先を歩いていた翔と裕の2人を呼び戻し、大きな岩に座って休憩することになった。


こうして並んで座って、おにぎりを食べるなんていつぶりだろう?


小学校の頃の遠足以来かもしれない。


あの頃はまだよかった。


男とか女とかなくて、みんなが同じように遊んでいたっけ。


楽しかった頃の事を思い出すと、また少し切ない気持ちになった。


あたしだって、みんなと仲良くできていたんだ。


「チホ、食べないのか?」


ジッと地面を見つめて当時の事を振り返っていると、和が不思議そうな視線を向けて来た。


その手にはおにぎりが握られていて、こちらへ向けて差し出されている。


あたしの好きなシャケおにぎりだ。
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