この夏の贈りもの
「……ありがとう」


ぎこちなくお礼を言い、シャケおにぎりを受け取る。


一瞬その手に触れそうになり、すぐに引っ込めた。


「それ食べ終えたら頂上まで競争しようぜ」


「いいな! 頂上まであと少しだからな」


翔と裕の2人が盛り上がっている。


「チホ、お前もだぞ?」


翔にそう言われてあたしはおにぎりを噴き出してしまいそうになった。


「あ、あたしも!?」


「当たり前だろ? なんだよお前、さっきから『あたしは別だから』って雰囲気で一歩引いて俺たちの事をみてるだろ」


「そ、そういうつもりじゃ……」


否定するけれど、実際は翔の言う通りだった。


だってあたしは霊媒師としてここに来たんだし、ちゃんとお仕事をしなきゃいけないし。


「同じだろ」


唯人が呟くようにそう言った。


「え?」


「生きていても死んでいても、男でも女でも、霊媒師でも幽霊でも、同じだろ? 俺たち人間なんだから」
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