この夏の贈りもの
ひいばぁちゃんはそう言い、唯人を見上げて頬を赤らめた。


「ひいばぁちゃんがこんなイケメンを捕まえてたなんてね」


あたしはそう言い、唯人を見た。


「イケメン?」


唯人が不思議そうな表情でひいばぁちゃんを見る。


「カッコいいって意味だよ」


ひいばぁちゃんがそう言うと、唯人は同じように頬を赤くした。


「これで2人とも成仏してくれるよね?」


そう聞くと、ひいばぁちゃんが大きく頷いた。


「もちろんだよ」


「ありがとう、チホ。キミはマヤによく似てるね」


「そりゃぁ、血が繋がってますから」


唯人に褒められた事が照れくさくてぶっきら棒に返事をした。


ひいばぁちゃんがあたしの中に入ってきさえしなければ、こんな夏休みにならなかったのに。


悪霊と対峙したときは本当に死んでしまうかと思って冷や冷やした。


「チホ、あんたはちゃんと生きてるんだから、ね?」


足元が黄金色に輝き始めたひいばぁちゃんがそう言った。


「わかってるよ」


「生きているっていうのは、いくらでも取り返しがつく。なんでもできるってことだからね?」


「……わかってる」
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