この夏の贈りもの
だけど、それ以降あたしの体操着や制服がなくなることは日常茶飯事になった。


ふと気が付くと爆乳中学生というネーミングでネットオークションにかけられているのだ。


さすがに顔写真までは出ていなかったけれど、今まで自分が着ていた制服なのだから、見ればわかった。


ネットで自分の制服に高値がつくのを見た瞬間、気持ちが悪くなって吐いてしまった事を今でもよく覚えていた。


日本中に爆乳中学生に反応している人間がどれだけいるのかを目の当たりにして、この世界に絶望したのだ。


クラスメートだけでなく、日本中に暮らしている全員の事を信用できなくなっていた。


ただ人よりも胸が大きいだけで、どうしてこんな思いをしないといけないんだろう。


あたし、なにかした?


小学校まで仲の良かった子たちも、あたしの胸が成長するにつれてどんどん離れていってしまった。


胸が大きくていやらしいから。


と言う事が原因だったようだ。


「意味わかんないし」


あたしは冷風にあたりながらフンッと鼻を鳴らした。
< 3 / 218 >

この作品をシェア

pagetop