この夏の贈りもの
それはまるで『明日うちでゲームやんない?』と誘ってくるのと同じような、緊張感の伝わってこない声だった。


あたしはその言葉の意味を理解するまでに少し時間がかかり、理解するにつれて目を見開いて行った。


「え……?」


質問を質問で返すのはよくないことだけれど、さっきからあたしは真面な答えを返せずにいる。


「だからさ、俺たち付き合わない?」


「付き……合う?」


聞き返しながら自分の顔がカッと熱を持つのを感じていた。


影で暗くなっている彼の顔を見返す事もできず、視線をそらせる。


「ダメ?」


少し首を傾げてそう聞いてくる彼。


ダメじゃない。


全然ダメじゃない。


だけど言えなかった。


あたしが男子に告白されるなんて、夢だと思った。


しかも校内で人気者の彼からの告白なんて、現実味がなさ過ぎた。


そしてなによりも……男子が、怖かったんだ。
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