この夏の贈りもの
「すごい、大きな家だね」


驚いてそう言うと「昔の家はみんなあんな感じだよ」と、大空が教えてくれた。


門の奥、中央に見えているのがきっと母屋。


その右手に見えているのが離れ。


そして左手には蔵も見えている。


これが普通のサイズの家だなんて信じられなかった。


だけど周囲を見回してみると、たしかに大空が言う通り大きな家が沢山立ち並んでいるのがわかった。


「彼女はいるのか?」


後ろからついて来ていた翔がそう声をかけて来た。


「わからないよ。ここからじゃ見えない」


大空が左右に首をふってそう答えた。


「家まで行ってみるか」


翔はそう言うと、ズンズン進んで行ってしまう。


あたしは慌ててその後を追いかけ、腕を掴んで引き止めた。


「なんだよ?」


翔は無表情の釣り目であたしを見る。
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