この夏の贈りもの
「大空……」


弘美ちゃんがしっかりと大空を見つめた。


分厚い雲は一瞬にして晴れていく。


あの空も、弘美ちゃんの心を反映したイメージだったんだ。


「おまたせ弘美ちゃん」


大空の手が弘美ちゃんに伸びる。


その手はしっかりと弘美ちゃんの肩に触れて、そして2人は抱き合った。


「待ってた、ずっと、待ってた……」


弘美ちゃんの涙が黄金色に輝き、天へと昇って行く。


2人の体が川の水のように透き通って行く。


「大空! 先に行ってまってろよ!」


翔がそう叫んだ。


「俺たちもすぐ後に続く! だから、待ってろよ!!」


その声に大空は満面の笑顔を見せた。


人懐っこくて、可愛い男の子。


その体は小さなシャボン玉が弾けるようにパチンッと音を立て、そして大好きな人と共に消えた……。
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