花一刻、〜新撰組〜
土方さんは、少し顔を赤くして目を反らした。
え、これって…。
どくん…。胸が高鳴る。
期待してもいいの?土方さんは、あたしをただの遊女じゃなくて、一人の女の子として見てくれてるの?だって、遊女なんていろんな人といろんな事をしていて当たり前なのに。
あたしがずっと黙ってると…
「いや、総司と何かしてたら、あいつの事斬ってたかも。」
と言って、あたしの頭をぽんぽんとなでた。
顔が赤くなるのが分かる。
心臓が今にも体から飛び出しそうだ。
「じゃあ、行くか…。」
土方さんは、そっとあたしの頭から手を離すと、自分の着物の襟を正した。
待って。行かないで。
ずっとここに居て。
沖田さんや土方さんと過ごす時間は一瞬の様に感じる。
この楽しい時間を知ってしまったあたしは、
もう他の客と一夜を過ごせないよ。
だから行かないで…。
それか、あたしも大門の外へ出て彼について行きたいとも思った。