ALONE
『友達と来たりしないの?』


女は俯いたまま吐き捨てるように言う。


『…そんなの…いないよ。』


『…そっか。』


俺はもうそれ以上何も聞かなかった。


なんかこの女…


妙に親近感が湧いた。


同時に…


笑って欲しいと思った。


『次どこ行きたい?』

俺は立ち上がり、女に微笑みながら手を出した。


ちょっと女は驚いた表情をしたが

すぐにそれは笑顔に変わった。


『どこでも♪』

そう言いながら俺の手をとり立ち上がる。


『お前さぁ…そうゆう返事が1番男が困るって知ってるか?』


『知ってる♪』


『…めんどくさい奴』


俺は無愛想に笑いながら女の手をしっかりと握り

人込みを進み始めた。




俺の女に対する感情は


当初抱いていた『一緒にいてやる』という感覚から


『一緒にいてやりたい』


そう思うようになっていた。


…変な俺。
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