ロストマーブルズ

 駅に着いたとき、時計は十二時半を過ぎたところだった。

 一時からの試合には充分余裕だと、腕時計を見つめながらジョーイは試合のある花園小学校に向かった。

 キノに誘われて、自分でもウキウキしている。

 お昼ごはんを食べることも考えられず、お腹が空いていてもお構いなしだった。

 寧ろ胸が一杯になるように、何かが詰まって苦しい気分でいた。

 こんな気持ちは初めてだと、ジョーイも首を傾げつつ、自分に驚くばかりだった。

 花園小学校の運動場が見えると、ユニフォームを着たちびっ子たちが目につく。

 その周りは保護者や地元の人たちが集まっている様子だった。

 犬が目に入ったところで、隣に居る眼鏡を掛けてる女の子が、キノだということがすぐに分かる。

 ジーンズを穿き、体にぴったりとするピンクの長袖のTシャツと、その上にもう一枚お洒落なアウターで重ね着していた。

 アメリカンカジュアルらしく、それを着こなしているキノはかわいらしかったが、最初に抱いた消極的なイメージからは程遠く、活発な女の子に見えた。

 そんなキノの側に早く行きたいと、ジョーイの足は自然に早まっていた。
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