ロストマーブルズ
 その姿を冷静に見つめてジョーイは思い出す。

 床に転がしたビー玉を、一瞬のうちに数える遊びをしていた光景。

 予めビー玉の数が分かっていたよいうより、やはりあの時アスカは一瞬で数を数えたんだろうか。

 そして自分も同じように人よりも早く数が数えられる。

(やはりキノはアスカなのか?)

 その答えが知りたいとばかりに、ジョーイは真剣にキノを見つめた。

「なあ、キノ……」

 ジョーイが話しだそうとしたとき、聡が先にキノの前に立って遮った。

「キノ、今から俺んち来いよ。おばあちゃんも喜ぶし、遊びに来いよ」

「ごめん、今日はこの後ちょっと用事があるんだ。また今度ね」

「ええ、まさかこいつとどっか行くとか言うんじゃないだろうな」

 聡はキーッとジョーイを睨む。

「違うよ」

 キノは何か変化が起こったように、さっきの元気が飛んでいって力なく笑っていた。
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