ロストマーブルズ

 時計が五時を過ぎようとした頃、クラブはお開きになった。

 女生徒達はジョーイに未練を残しながら「また来て下さい」と握手を求めていた。

 少し疲れが出ていたジョーイは、適当に返事をして、軽く促す。

 トニーのように、社交的になるにはまだまだ抵抗があった。

 眞子だけが教室に残り、後はそれぞれ帰っていく。

 ジョーイ、トニー、キノそしてリルとこの四人は固まって廊下を歩いていた。

 リルはふとブレザーのポケットに手を入れ、はっとしたように叫ぶ。
 ずっと握り締めていたハンカチが見当たらない。

「あっ、私、忘れ物した」

 リルは教室目指して走って戻っていってしまった。

 その隙に、ジョーイはキノに問いかける。

「なんでリルを連れて来たんだ」

「放課後、廊下で偶然会って睨まれたから。あのままじゃ後味悪くて、それなら私から友達になればいいかなって思って」

「だけど、朝、二人で俺の腕引っ張りあいしてたじゃないか」
 
「ああ、あれね。なんかああしたら楽しいかなって思って、ちょっと調子に乗ってしまったの。ごめんね」

 遊ばれてたと知ると、ジョーイは呆れて言葉も返せず絶句した。

 そこにトニーが首を突っ込んできた
 
「一体何を話しているんだ。キノとリルがジョーイを取り合いした? あのリルって子はジョーイが好きなのか。だけどあの子、どこか普通の女の子の雰囲気と違うよな」

「まあな、ちょっと変わってるって言えば変わってるかな。人のこと言えないけどな」

 ジョーイも同じ部類だと言わんばかりに、苦々しい顔つきになっていた。
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