ロストマーブルズ
「あいつ何やったんだ。シアーズにあんな風に呼び出されるなんて珍しいな。まさか酒飲んだこと……」

 そこまで言うと眞子の手前上、ジョーイはハッとして口をつぐんだ。

「ジョーイはトニーのことなら何でも知っているの?」

 眞子は聞かなかったフリをして、笑みを軽く添えて聞いてきた。

「大体のことなら分かってるつもりだけど、先生には関係ないだろ」

「なんだか私は嫌われてるって感じね。トニーから聞いたけど、生意気っていう意味が分かったわ」

「トニーの奴、俺の悪口でも言ってたみたいだな」

「悪口ではなかったけど、愚痴はこぼしてたわよ」

「それなら、昨日解決したよ。ちょっとアイツとやり合ってきっちり謝ったよ」

「あら、そうなの」

「でも、トニーは先生には気を許して何でも話してそうだな。アイツ先生には本気みたいだから」

「まあ、光栄だわ」

「まさか、先生も本気ってことないよな」

「さあ、どうかしら。フフフ。それは冗談だけど、でもトニーはまだまだ子供ね。少し優しくしただけで何でも話してしまうわ。揺れ動く年頃ってところかしら。まだまだ思春期で不安定なのね」

「先生がトニーを弄んでるんじゃないか」
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