ロストマーブルズ
 ジョーイもキノも、自分達が何をしているかわからないままお互いの唇をくっつけていた。

 キノがはっとすると、後ろに後ずさり、顔がみるみると真っ赤になって熱くなっていく。

 触ればジュッと焼ける音を発しそうなくらい熱されていた。

 自分がこんなにも大胆になれるとは思わず、ジョーイも息が止まりそうになっていた。

 でも必死に思いを伝える。

「俺、やっぱりキノのこと好きなんだ」

 キノもとうとう、キスとジョーイの気持ちで歯止めがつかなくなってしまった。

「私もジョーイのことが好き」

 最初のジョーイの告白から、どれくらいの時間がたったのだろう。

 キノが頑なに拒んだ理由は、恥ずかしさからだったのだろうか。

 そんなことはもうどうでもいいと、恋が成就したことでジョーイはほっとした。

 一時はトニーのせいでかき回され腹が立ったが、結局は怪我の功名でこんな結果になるとは思わず、今ではトニーに感謝しないといけなくなった。

「遅くなったから家の近くまで送るよ」

 すっかり彼氏気分だった。
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