ロストマーブルズ
「私の仕事はシアーズ先生の助手と言ったところ。そしておまけでトニーの監視。トニーがFBIに目をつけられてたから、それを探ってただけ。トニーの女癖の悪いところを利用して、私に夢中にさせて何もかも話すように仕向けてただけよ。トニーは事情を知らないから、時々変化を見落とすからね」

「なんだって。でもキノに冷たかったじゃないか。リルに変なことを教えたし」

「あら、ちょっとね、あれは恥をかかせた復讐のつもりだったの。だってキノったらみんなの前で私の英語がおかしいって訂正するのよ。ちょっとプライドが傷ついたから、あんな態度になっちゃったわ。でも嫌ってたわけじゃないわ」

「じゃあ、ギーは何の用だったんだ」

「あれは偶然だったの。キノのことを知っている英語を話せる教師を探していて、私が対応したということ。キノがマンションから出て行ったから、どこへ行ったのか探してたのよ。お陰でしつこく聞かれちゃったけど、家庭の都合で国に帰ったとは言ったけどね」

「えっ? キノがアメリカへ帰ったっていう噂は本当なのか?」

 眞子は少し躊躇し、シアーズの顔色を伺った。

「(キノはノアと一緒にアメリカに帰ったよ。今頃は飛行機の中だろう)」

 シアーズは何でもない事のようにさらりと言った。

「(なんだって。俺に何も言わず、そんな。嘘だろ)」
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