ロストマーブルズ

「こ、これは」

 油性マジックで書かれた手紙は、裏にもインクが浸透していた。

 裏返したとき、突然そこに文字が浮き上がっていた。



「”5 + 5”のこの部分はひっくり返して文字を縦にすると『九十九』と読めるじゃないか。これはツクモの漢字じゃないか。そして”11”はカタカナの『ニ』?、”037”はOWL と読める、即ちフクロウのことだ。続けて読めば、ツクモ ニ フクロウとなる。これはどういうことだ? ツクモ、お前何か知ってるのか?」

 ツクモは尻尾を振って「ワン」と答えていた。

 暗号は解けたが、まだ意味が完全に理解できない。

 ツクモニフクロウとはツクモにフクロウを与えるということなのだろうか。
 ジョーイはそこでフクロウがデザインされた方を向けて、一ユーロ硬貨をツクモの前に置いてみた。

 ツクモは匂いを嗅ぐだけでそれ以上の反応は示さなかった。

 コインに描かれている絵では小さすぎてフクロウと判別できないのかもしれない。

 夜も更け、ジョーイの疲れは頭の回転を鈍くさせる。

 仕方がないと、その晩は謎解きは諦めて寝ることにした。

 疲れ切っていたジョーイは目を閉じるや否や、ストンと谷底に落ちたように眠りにつく。

 そのベッドの側でツクモも丸くなり眠りについていた。



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