秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

社長は忙しい。

時間を無駄にしないようにスケジュールを組み込んでいく作業は、簡単なようで難しい。
予期せぬ延長などもあるからだ。

だから私はまだ確認作業しかやらせてもらえない。


「広瀬。聡さんにコーヒーを」

「はい」


高畑さんは戻ってきて私に指示を出す。

指示通りコーヒーを持って聡さんのところに行くと、彼は電話をしていた。


「それでは、秘書に改めて連絡を入れさせます。よろしくお願いします」


すぐに電話は終わった。


「広瀬さん、コーヒーありがとう」

「いえ。あの……先ほど私、お渡しするお土産を忘れてしまいました。申し訳ありません」


コーヒーを出すと、深く頭を下げた。


「そんなに謝らなくてもいいよ。まったく問題なかったしね」


聡さんは優しい。
でも、秘書としては失格だ。
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