笹に願いを
「・・・教えない」
「なんでー」
「言うと願い事が叶わなくなるから!」
「はあ?そんなジンクス聞いたことねえしー」
「だって今私が作ったもん」
「なにぃ!?織江っ、もったいぶらずに教えろよ」
「いや。ほら天野くん行くよ。せっかく早目に出たんだから、ここで止まっちゃダメでしょ?」
「俺の願い教えてやるから」
「別にいい」
「“銀河警察隊”の単行本がほしいでーす。できれば初版限定バージョンで」
「うーわーっ。やっぱり天野くんってさ、七夕とクリスマス、ごっちゃにしてない?」
「いいや。俺、欲しいってもの書いてるだけだし」
「だからそれが・・・」

ついクスッと笑みがこぼれた私に、天野くんは「なんだよ」と言った。


「・・・天野くんらしい」
「あ、そ」

私よりも1歳半年上だけど、ちょっと子どもっぽい部分がまだ残ってる。
だからと言って、頼りにならないなんてことは全然なくて。

そんな天野くんのことを、私は仕事のパートナーとしてだけじゃなくて、異性として意識し始めて・・・。

気づけば彼のことが好きになっていた。

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