笹に願いを
あらかじめ分かっていても、実際髪がなくなれば、やっぱりそのショックは大きいと思う。
女性としての自尊心を傷つけられた、女らしさがまた失われたと思うだろう。
それにカツラをかぶってなかったら、周囲の人たちは「あぁこの人、今治療中なんだ」とすぐ分かるし。
正直嫌だ。
さらし者になるような感じがして。
周囲の同情と憐れみの視線に、私はどこまで耐えられるのだろう・・・。
でも・・・仕方がない。
それしか方法はないんだし、脱毛は避けて通れない道なんだから。
覚悟を決めなきゃ。
だから、カツラにはしばらくの間、お世話になろう。
カツラは私の味方だ。
苦痛を乗り超える、力強い味方なんだ。

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