笹に願いを
「な・・・もう、天野くんのバカ。私の方がどれだけ幸せ感じてるか、分かってないでしょ」
「それでバカかよ。ま、いいけど・・よし」と天野くんは言うと、私の二の腕に手を添えて、私の顔を覗き込むようにじっと見た。

彼の真面目な表情が、今まで以上に凛々しく見えて、頼もしく思える。
彼の黒くつぶらな瞳はイキイキと輝きを増し、自他ともに認める童顔を、そう見せないために生やしている無精ひげが、彼の顔に陰影を与えて、年を重ねた色気を、上手く醸し出している。

あぁ、私の夫になるこの人は、外見も生き方も、全てカッコいい。

「今までもだが、これからもいろんな事、分かち合っていこう」
「喜びも悲しみも。楽しさも、痛みも」と私は言いながら、彼の手をそっと私の頭に導いた。

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