笹に願いを
7月7日。
雨は降らなかったものの、朝から曇り空だったこの日は、夜も曇りが続いていて、輝く星は見えなかった。
それでも今日は七夕だから、私たちはお気に入りのバルコニーで涼んでいた。

「今年は短冊に何書いた?」
「えっと・・・“大好きな夫と、少しでも長く一緒にいさせてください”。義彦は?」
「実は俺も似たようなもんでさ。“妻が元気でいられますように”」
「・・ありがとう。来年も同じこと書こうかな」
「もう来年の話かよ。気が早えぞ。その前におまえの誕生日とクリスマスと正月にバレンタイン。ホワイトデーに俺の誕生日だってあるんだぜ」
「そうだよねっ。イベント目白押しだ。アハハッ」と私は笑いながら、夜空を見上げた。

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