笹に願いを
・・・そう言えば。
天野くんは男だから、普段からノーメイクだし、時々カメラ撮影という仕事があるので、仕事時の彼は、ジーンズにTシャツにスニーカーという、いつもカジュアルな格好だ。
もちろん、季節によって袖の長さは変わるけど、カジュアルでも、首まわりがヨレヨレになってるとか、全体的にくたびれてる感じが強いものは、絶対着てこない。

でも今の天野くんは、白いTシャツに濃紺の短パンという、私と似たような恰好をしてる。
これは彼の部屋着なのかな。
私同様、この人も部屋着とパジャマを兼用で着てるとか?
なんて思ったら、彼のことが身近に感じられて。
部屋着でノーメイクな姿見られても、天野くんだからいいや・・・今更だけど。
いや、彼にイイところだけ見せる必要は、もうないんだと思えた。

「なあ織江」
「はい?」
「俺も眠れねえからさ、今夜は語り明かそうぜ」

何かがふっ切れたように微笑みながら、私はパートナーに向かって「うん」と言って頷いた。

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