笹に願いを
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私たちはたくさん話した。
天気のことから料理のこと、いわゆる世間話的な何気ないことから、仕事につながるような真面目な話まで、それこそ色々。
普段仕事で会うときも、天野くんとは結構しゃべっている方だと思う。
何といっても私たちは一緒に仕事をしている仲だから。
この時も話題は尽きることが無く、時間が経つのを忘れて私たちはしゃべって、笑った。
渇いたのどを潤すために、グラスに注いだ水道水を飲んでは、またしゃべる。

楽しい。
天野くんと一緒に過ごしているこのひと時が、とても楽しい。
たまに訪れる沈黙ですら心地良い。でも・・・。

どれくらいしゃべっていたのだろう。
今は私たちの話声と笑い声以外、何も聞こえない。
虫の鳴く声も、いつの間にか聞こえなくなっている。
外は真っ暗だ。
きっともう真夜中は過ぎているはず。
まだ天野くんと話しをしていたい。
でもちょっと・・・しゃべり疲れた。

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