笹に願いを
「ふぅん。ま、一緒に仕事してるからね。そうなるよね。私も、天野くんと一番多くしゃべってると思う。亡くなった両親ともそこまで話したことないし。仲は良い方だったけどね」
「そういうもんだろ。それよか、なんで最後の元カレと別れたんだ?」
「え?なんでって、う~ん・・・すれ違い、かな。お互い合わなくなって。考え方とか。半同棲までしてたんだけどね。でもこの人とは結婚しないなって思って。たぶんあっちもそう思ったんじゃないかな。2年ちょっとおつき合いしてたけど、まぁ穏便に別れたよ」
「連絡取り合ってんの」
「ううん。全然。今ふと思い出したって感じ。別れてから偶然でも一度も会ったことないし。元気かな。私が卵巣がんだと知ったら・・・ビックリするだろうなぁ。まぁでも、たとえ連絡先知ってても、そんなこと伝える気は全然ないけど・・・」

私は、天野くんから天井へ視線を戻すと、「もう子ども、産めないな」と呟いた。

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