笹に願いを
確かにちょっとチクッと来たけど、そんなに長いキスじゃなかったし。
痛いって程じゃなくて、ビックリして、ドキドキして、・・・それ以上に嬉しかった。
唇が触れ合った途端、そこを中心に体が一瞬熱くなって。
今も唇はジンジン熱くて・・・。
キスってこんなに甘く感じるものだったっけ。
「もっと」とせがみたくなるくらい、虜になるものだったかな、キスって。
実際彼にキスされて、分かったことと、思ったこと。

エレベーターの扉が閉まるまで、私は天野くんを見送った。
彼も私を見てくれていた。

エレベーターの扉が閉まった後、私は玄関のドアを閉じて、家の中へ入った。
長いようで短かったその間、私の顔にはずっと笑みが浮かんでいた。

幸せって、つかの間にも存在するんだ。

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