笹に願いを
15
天野くんから『家着いた』とメッセが送られてきたのは、病室でバイバイしてから30分経つか経たないかくらいの頃だった。

彼の低い声、聞きたい。
でも聞きたいから・・・電話するのは止めておいたほうがいい。
そう思い直したけど、スマホを握りしめた私は、病室から憩いのスペースへ、セカセカ歩いて行った。
まだ消灯時間じゃないし。
明日はほとんど動けないだろうから、今のうちに動いておきたいという気持ちが、私をそうさせた。

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