【短】ソルト男子にはシュガーを。



「はい、今日はハニーレモンパイ!!」


黄色いリボンでラッピングしたパイを椎名くんに押し付ける勢いで渡す。



「じゃあね、椎名くん!おやすみ」



なにか…なにか言われる前に去らなければ。


私は小走りで自分の部屋、112号室に戻ったのだった。




部屋に戻って息を整え、辺りを見渡すと千明ちゃんはもうそこにはいなくて、

『美味しかったよ』

の置き手紙とゴミだけがテーブルに乗っていた。




今頃椎名くんは食べてくれているだろうか?


ゴミ箱ではなく、椎名くんのお腹の中に入っていたらいいなと思いながら、私は眠りについた。



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