オトナの恋は強引です!
客間に用意されたふとんに倒れてぐっすり眠る。
干されて布団は良い匂いだ。
両親に帰ってこいと言われる私は幸せ者だ。
昔は反抗したけど、
今なら少しはわかるかな。


「サクラ、男が来てる。」と笑った顔の兄に起こされる。
「へ?」と目を開け、
「冗談はよして。」と寝返りを打つと、
「今、父さんと対決中だぞ。」とさらに言うので、
「…?誰?」とガバリと起き上がる。
「おまえの男だろ。結構年上。36って俺より上じゃん。」とニヤニヤする。
「りゅ、竜二さん?!」と声を出すと、
「そうそう。片桐竜二。って言ってた。」と面白そうに笑った。
慌てて、兄に背を向け、パジャマを脱いで、サマーセーターをかぶる。
「背中、キスマーク付いてる。」クッと笑って、兄は部屋を出て行く。
しまった、背中もか!
でも、そんな場合じゃない。
無理やり、ジーンズに足を通し、バタバタと廊下を走り、
兄を追い抜く。
「サクラ〜、ファイト〜!」とゲラゲラ笑い声がする。


なんで?
どうしたの?!
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