オトナの恋は強引です!
旅館に着いて、直ぐに
「一緒に暮らし始めました。
どうか結婚することを許して下さい。」とふたりで並んで、頭を下げた。
父はしばらく黙って、ドラゴンを睨んでから、
「結婚式は挙げるんだろうな。」と低い声で言った。
「もちろんです。
お義父さんと相談したいと思っていました。」とドラゴンが顔を上げると、
「田舎の結婚式は、親族が揃って出席して歌ったり、スピーチをするんだ。
長くかかるぞ。」と言うと、
「はい。海沿いのホテルの結婚式場を1日借りきることにします。
みなさんにお泊り頂いて、おもてなしさせていただきます。
ただ、私の家族の仕事関係の出席者が多くなるので、
2、300人。になるかと思いますが、」とドラゴンは笑った。
「大掛かりだな。」と父が少し驚くと、
「申し訳ありません。
出来るだけ、サクラさんに負担をかけないように気をつけます。」
とドラゴンは頭を下げた。
「…ならいい。一生サクラを守れるか?」と父はドラゴンに聞く。
「必ず。」とドラゴンは真面目な顔で答え、
「サクラを頼む。」と父はドラゴンに頭を下げた。
「よろしくお願いします。」とドラゴンも深く頭を下げる。

私はなんだか涙が出てしまった。

母もサクラをよろしくねとドラゴンに笑いかける。

すごく嬉しい。


その日はもちろんお祝いって事で、
旅館自慢の海の幸を用意してくれていて、
(父は私達が来る日に合わせてとっくに用意をしていたみたいだ。
だったら、そんなに怖い顔で待ってなくて良いのに…。)
旅館は兄夫婦に任せ、
両親とゆっくり実家で食事をした。

結構父はお酒に強いドラゴンが気に入ったみたいで、
お酒を一緒にたくさん飲んで、
大声で結婚式の事を話し合い、
ふたりで酔っ払って、リビングで眠ってしまった。





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