クラウディアへようこそ

「なぐさめてくれてありがとう」

私は鉢植え達にお礼を言うと、水差しでひとりひとりに丁寧に水をやった。

持つべきものは鉢植え、もとい心の友である。

上京してから少しずつ少しずつ増やしてきた鉢植えで、今やこの安アパートのベランダは一杯である。

どんなに仕事で疲れていてもこの子達の世話を欠かしたことはない。

私の心の機微を感じ取り、優しく癒してくれる不思議な存在である。

(ガーデニングが趣味って、就職に有利になんないよねえ……)

葉っぱにかじりつく虫を無心で取り除いていても、再就職先が見つかるはずもない。

(やっぱり実家に帰るしかないかなあ……)

就職を機に上京すると決めた際散々反対された手前、あっさり実家に戻るのもバツが悪い。

それに、実家に帰るとなると可愛い我が子達とお別れしなければならない。

さすがに、この鉢植えすべてを持ち帰ることはできないだろう。

……それは絶対に嫌だ。

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