【完】素直じゃないね。
Chapter▷▷3

「お前は知らなくていい」







「行ってきまーすっ!」


かっさらうように掴んだスクールバッグを肩にかけ、前のめりに転びそうになりながらローファーを履く。


そして弾丸の如く家を飛び出た。


まずい、まずい。ひっじょーにまずい!

思いっきり寝坊してしまった。


腕時計を確認しながら、必死に走る。


寝坊の原因は、他のなんでもない、高嶺だ。


昨夜、あたしは勇気を振り絞って高嶺にメッセージを送った。

「助けてくれてありがとう」なんて、あたしにとってはこれ以上にないほど素直な文面で。


それなのに、高嶺ときたら既読無視。


かちーんときてスタンプを連続で送ってやったら、返ってきたのはう◯ちのスタンプひとつ。


バカにしてない!? バカにしすぎじゃない!?

乙女の気持ちを踏みにじりやがってーっ!


あの〝高嶺( たかね )のプリンス〟が、こんなう◯ちのスタンプを使ってるなんて、だれが思うだろうか。

とかいいつつ、そのスタンプをしっかりダウンロードして、同じスタンプ持ってることに嬉しさ感じちゃってるんだから、あたしもだいぶ重症なんだけど。

< 168 / 409 >

この作品をシェア

pagetop