【完】素直じゃないね。
Chapter▷▷3
「お前は知らなくていい」
「行ってきまーすっ!」
かっさらうように掴んだスクールバッグを肩にかけ、前のめりに転びそうになりながらローファーを履く。
そして弾丸の如く家を飛び出た。
まずい、まずい。ひっじょーにまずい!
思いっきり寝坊してしまった。
腕時計を確認しながら、必死に走る。
寝坊の原因は、他のなんでもない、高嶺だ。
昨夜、あたしは勇気を振り絞って高嶺にメッセージを送った。
「助けてくれてありがとう」なんて、あたしにとってはこれ以上にないほど素直な文面で。
それなのに、高嶺ときたら既読無視。
かちーんときてスタンプを連続で送ってやったら、返ってきたのはう◯ちのスタンプひとつ。
バカにしてない!? バカにしすぎじゃない!?
乙女の気持ちを踏みにじりやがってーっ!
あの〝高嶺( たかね )のプリンス〟が、こんなう◯ちのスタンプを使ってるなんて、だれが思うだろうか。
とかいいつつ、そのスタンプをしっかりダウンロードして、同じスタンプ持ってることに嬉しさ感じちゃってるんだから、あたしもだいぶ重症なんだけど。