【完】素直じゃないね。
そう。あたしは、男が苦手だ。
中学時代のある出来事から、男子と一対一で目を見て話すのにさえ、恐怖心が芽生えてしまった。
だから男子と関わらないように生きてきた。
乃亜にだって言えていない、あたしの秘密。
ずっと隠してたのに。
こうしてる今もいっぱいいっぱい。
手が、震えてる。
そんな、なんの抵抗もできないでいるあたしを見て、高嶺は意地悪な笑みを口にのせた。
「男が苦手なのに強がってるとか、からかいがいあるな、お前」
「……っ」
やっぱり。
高嶺というこの男は、正真正銘悪魔だ。