【完】素直じゃないね。

「……人生って、少しずつでも修正きくんだって」


「え？」


俺がぽつりとこぼした言葉に反応して顔を上げた美織に、微笑みかける。


「受け売りだけど、俺たちも修正していけるよな」


すると、込み上げてくる涙をこらえるように、美織が口をへの字にする。


「うんっ……」


自分に言い聞かせるように何度も頷き、それから彼女は顔を上げた。


頬は涙で濡れている。


でもその顔に浮かんでいたのは、兄貴が死んでから初めて見せた、あの〝美織の〟笑顔だった。


「今までずっと隣にいてくれて、ごめんね、ありがとう──悠月」