【完】素直じゃないね。

「もっともっと俺に傾いちゃいなよ」







「昨日はほんとーっに、すみませんでした……!」


「もういいって。メッセージまでありがとね」


翌日の昼休み。

音楽室であたしは、となりの椅子に座る充樹先輩に向かって顔の前で手を合わせ、全力謝罪をしていた。


昨日あたしは、充樹先輩とこの音楽室にやってきてお弁当を食べようというところで倒れてしまったのだ。

元気しか取り柄のないようなこのあたしが、まさか倒れるなんて、想像もしない事態だった。


保険医の桜先生によると、原因は寝不足らしい。


それについては、思い当たる節があった。

寝不足の原因は、恐らくテスト勉強だ。


普段まったくと言っていいほど勉強せず、毎日十時には就寝してるあたしが、このところは徹夜続きだった。


そしてそこまでテスト勉強まで打ち込んだのは、高嶺のせい。


なにもしないでいると、高嶺の言動の意味ばかりを考えてしまうから、勉強に集中することで気をそらせようとしていた。
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