ダメオトコに恋して、バカ男に恋されて。
朝、横山に会った。いつも通りで、相変わらずだけど、真剣に、

「凪、大丈夫だから。待ってて。」って言われた。

腹は括ったけど、横山が、真剣であれば、あるほど、優しい横山に付け込んでるんじゃないかって気持ちが増える。

それでも、今更だ。
大丈夫。私は横山を、好きになる。

呪文のように唱えるってこーいう事なんだなとか、思いながら、1人日陰のベンチに腰を下ろす。

「はぁー……。」

ベンチに座って下をむいてれば、自分の足元に自分より、大きな靴。そして、手から垂れ下がっているだろう、クラカラーの青色のハチマキが私の視界に入った。

「凪、大丈夫?」

来て、たんだ……。

声だけで分かるけど、下げてた頭を上げればやっぱり瑠依くん。

「あー。うん。大丈夫だよ。瑠依くん居たんだね。おはよー。」

「うん。」

「でも、男子100Mには居なかったでしょ?開会式とか。」

「うん。」

「とりあえず顔だけ、出す系?体育赤点になっちゃうよ?」

「大丈夫。」

「えー。先生本気っぽかったよーそれでなくても、瑠依くん体育サボりがちなんだからー。」

「大丈夫。走るから。」

「あ……そーなんだ。」

ベンチに座った私の前に、瑠依くんが立ったまま、手から下げてた、青色のハチマキを頭に結ぶ。

その仕草が、
いちいち、かっこいいんだよ。

座りながら、瑠依くんを下から見上げれば、いつもの天使スマイル。

そして、
いつも以上


優しく瑠依くんの手が私の頭を、撫でる。

「凪、頑張ってって、言って?」

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