結婚相手の条件



ゾクッとする
冷たい彼の視線に身体が凍る
私は彼に何かしたのか?
いや、していない
なら、何故?


「貴方の理想は、旦那の給料で生活が出来、自分は専業主婦。旦那のサポートをし、糠漬けをつける暮らしがしたい。まぁ今の時代、男の給料でやっていけるなんて、なかなか難しいだろうな。同棲していた男の給料じゃ、養っていけないのはわかっていたが、それでもパート勤めでもして、自分は家に入る事を考えていた矢先の浮気」


そこまで言われて
私は手にしていた箸を置いた
何故知っているか知らない
けど、ここまで言われる筋合いはない



『総務課長、私はこれで失礼します』


鞄を持ち席を立つ
戸へ手をかけた時
あることに気がつき
総務課長へと足を向けた


「失礼します」


そう言ってテーブルに五千円札を置いた
もしかしたら足りないかも、と思ったが
これ以上払う気分にもならない


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