結婚相手の条件



「貴方の好みに合っているのは俺ですから。結婚したら会社を辞めて構わない。糠漬けを毎日食卓に出して欲しい。一軒家を建て、たくさん子供を作ろう」


だから結婚しよう



シャツとパンツ
正座をしながら真面目な顔をして言っていた井内さん


それを思い出すと
もっと違う話があっただろう
スミレから言われていたなら
それをまず言ってくださいよ、



『…聞いてみるね』



それ以外、どう答えていいかわからない
スミレの熱い眼差しに
NOとは言えないのだ



聞いてみる、とはいえ
私から井内さんに連絡をしたことがない
スミレのために連絡しようか悩む


日曜日、夕食を食べた後帰って行ったきり、ウチにも来ていないし
連絡すらとっていない

たまに足音が聞こえるが
振り向いても井内さんはいない
無駄に敏感になっているのだろう


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