専務に仕事をさせるには
「専務がまだ小学生に上がったばかりの頃、百合子さんのご主人が交通事故で亡くなってね… 私も葬儀に参列したんだけど、彼は涙ひとつ見せずにただ泣き崩れる百合子さんの手を握っていたわ… 『ママ、僕がいるからね』って… 参列した人達皆んな涙してたわ… 幼い子が父の代わりに母を支えていこうとする姿に…」
大切な父を亡くしどんなに悲しかった事だろう…
その悲しみに涙せずに母を守ると決意した幼き専務…
その専務が噂されるような銅鑼息子の筈がない…
勿論、人は変わる…
でもあの人は違う
「それから暫くして原油の高騰が続いて会社が倒産の危機に追い込まれて大変だったけど百合子さんは寝る間も惜しんで仕事してた。要君は学校が終ると会社に来て百合子さんの仕事が終るのを文句も言わずいつ迄も待っていたわ… だから噂されるような人では無いと思うの」
「私もそう思います」
「アンケートの名前は任意になっているけど、商品名やサイズは必ず書いてもらう事になっているでしょ? いつも名前を書いて送ってくれてる人の商品名とサイズは専務が社販で買っている物とほぼ同じなの」
「でも、記名のあるハガキでも全てが全ていい内容ばかりではないですよね?」
最近は少なくなったが最初の頃のアンケートには低価格の方が良いと言う意見やもう少しデザイン性を考えて欲しいと言う意見も多かった。
「専務は率直な意見を求めたんじゃないかしら? お陰で開発する側はとても参考になったわ」
確かにそうだ。
ここ最近では年齢層も広がりショップからもリピーターのお客様が随分増えたと上がって来ている。