あの頃、きみと陽だまりで





「なぎさ、学校遅刻するわよー!」

「はーい!」



お母さんに呼ばれて、書きかけの手紙を机にしまう。

書き終わったら、次の命日に彼の元へ持っていこうと、そう心に決めて。



開けたままの大きな窓。ベランダには、たくさんの鉢に植えられた花たちが揺れる。

それはあの日、新太の家から貰ってきた花。



『夢の中で新太が、キーホルダーと一緒に庭にあるビオラの花をあげてほしいって言ってたの』



そう言って新太のお母さんが、ビオラと書かれた鉢植えをひとつくれた。

それから3年、私は毎年絶えずその花を植えている。



青空の下、紫色の花を美しく咲かせるビオラの花。

花言葉は『私の胸にはあなたがいる』。



その心に、この心に、いつの日も。

君という花が咲く。







End.
< 165 / 165 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:248

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

クールな外科医はママと息子を溺愛したくてたまらない~秘密の出産だったはずですが~
  • 書籍化作品
表紙を見る
愛がなくても、生きていける

総文字数/92,988

恋愛(純愛)117ページ

表紙を見る
愛艶婚~お見合い夫婦は営まない~
  • 書籍化作品
[原題]蝶々結び

総文字数/97,198

恋愛(純愛)150ページ

表紙を見る

書籍化作品

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop