この広い世界で、2度目の初恋を
Prologue


―――ブクブクブク……。

水泡が空へと吸い込まれていくのが見える。

私の体は、冷たい水の底へと沈んでいく…。


誰か……。

誰か……助けて……っ。

たす……け……っ。

息ができない。

頭がボーッとする。

8歳の幼い体では、この川の深さから這い上がることは難しかった。


お父さんとお母さんとで遊びに来た川で、私は風で飛んだ麦わら帽子を拾うために川へと無謀にも飛び込んだ。


挙句の果てに、浅いと思っていた川が急に深くなり、足を取られて溺れてしまったんだ。


もう……駄目……。

そう思って、体からフッと力が抜けた瞬間、バジャンッと大きな水の音が聞こえた。


え……??

閉じかけた瞳をもう一度開く。

すると、たくさんの水泡が視界いっぱいに広がる。






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