この広い世界で、2度目の初恋を

始まってすぐに終わる恋



桜も散り、新芽が芽吹いて青葉をつける5月。

私は授業と授業の間の10分休みにボーッと外を眺める。

なんだか雲行きが怪しい……。

雨降るって言ってなかったのに……傘、持ってきてないなぁ。

そんな事を呑気に考えていると、ちょんちょんと肩をつつかれる。

「七海、コレすごくね?」

「え……ブッ!!」

突然、隣に座っている樹くんから見せられた一枚の紙。

そこには、ハゲで有名の現代文の篠田先生の似顔絵が描かれていた。

す、すごいクォーリティー……。

その完成度のすごさに笑いが止まらない。

「マジやべー」

私に見せた樹くんも肩をふるわせながら笑ってる。


「おい樹〜、あんま見せびらかすなよな!!」

「わり、亮ちゃん。七海にも見せたくてな」


そう言って樹くんの所へやってきた、茶髪で癖のある天パの髪の男子。

確か……梶原 亮(かじわら りょう)。

陸上部のエースだっけ。

帰り道、グランドの横を通ると、陸上部の練習を見に来ている女子が騒いでるのを見かけた事がある。

樹くんに次ぐ人気者だ。


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